表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が愛を語れ  作者: BAGO
188/247

前日の想い(5)

「いよいよ明日ですね」

ジャム色に染まっている河川敷の道を、俺たちはゆっくり歩きながら帰っていた。正直、こっちから帰る理由はない、遠回りだからな。でも、時間に余裕があったから、どちらともなくこっちの道を選んでいた。できるなら、長い時間一緒にいたいからな。

「うん、そうだね」

「あー、緊張するな」

「リラックス、リラックス。大丈夫だよ、今まで練習を積んできたんだから」

「そう自分に暗示はかけてるんですけど、それでもちょっと……あんまり人前でしゃべったりすることないんで」

「きっとやり始めたら忘れるよ。でも、そうだよね。よく考えたら雄慈郎くんは校内アンケートで選ばれたんであって、立候補したわけじゃないんだもんね」

「そうですね。あの時は絶対嘘だって思ってましたよ。全員合わせて三百人いる男子の中で一位になるとは……」

「しかも、大差だったんだよね」

「はい、それ聞いた時は絶対嫌だって思ってました。俺なんかじゃ足引っ張ると思ってたんで」

「雄慈郎くん、必死に言ってたもんね。それで私が説き伏せて、了解してくれたんだよね」

「情けない限りで……でも今は、綾音先輩の言った通りにやってよかったなって思いますね。やっていくうちに、演劇の楽しさっていうのが分かった気がしますから」

「そっか、それならよかったよ」

「そ、それともう一つ」

「?」

正直、やってよかったと思う理由はこっちのほうかもしれない。

「綾音先輩と、その、仲良くなれましたしね」

「雄慈郎くん……」

俺らしからぬひどくくさい台詞である。仕方がない、こんなこと簡単に言ってのけるほど俺は器用じゃないからな。それに、ここまでやってこれたのは、綾音先輩のおかげだし……。

とにかく、伝えておきたかったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ