前日の想い(3)
「何か、衣装が変わってませんか?」
そう、ここにきて綾音先輩の衣装が一新されたのだ。しかも前より派手になっていて、何て言うか、露出度が上がっていた。少しばかり、目のやり場に困る。
「傷んできてたから、いい機会だと思って新しいのを購入したのよ。ちょっと高かったけどね」
綾音先輩、顔が真っ赤だ。当たり前か、先輩の性格はこんなハデハデな衣装をはいそうですかと言って坦々と着る柄じゃない。羞恥心があるはずだからな。俺だって、こんな衣装着てる綾音先輩を見たら……こっちも恥ずかしくなってしまう。
「ど、何処か変かな? 雄慈郎くん」
「い、いえ。かわいいですよ、はい」
目のやり場に困る、とは言うまい。
「明日って、それ着て舞台に立つんですか?」
「う、うん。本当は前のがいいんだけど、傷んじゃって着れないから」
「そ、そうですか」
これは、もっともっと気合を入れて望む必要があるな。いや、最初からその気持ちで望もうとはしていたが、それ以上に気合を入れないと見入ってしまって演技にならなそうなのだ。
俺は、男なのだ。
「とにかく、頑張りましょう」
「うん、そうだね」
「よし、じゃあぼちぼち練習始めましょう」
「はい」
俺たちは明日に向けてリハーサルを行った。