密室~隠れ鬼パニック~(14)
あー、どうしたらいい? やっぱり助からないのか? ここで俺、死ぬんだろうか? 卓球台の下敷きになって死亡……情けねえ、嫌だなそれは。まだ死にたくないし、やり残したことも山ほどある。ならどうする? あー、考えるのも面倒になってきた。
俺はもう一回深呼吸して気合を入れた。もう一度押し返して、卓球台をぶっ倒してやる。もう倉庫なんてどうだっていい、命あっての物種だ。あと少しだけでいい、動いてくれ、俺の体よ。
「うおおおおっ!!」
俺は火事場の馬鹿力とも言えるほどの気力を振り絞り、卓球台を押し返した。まるでモンスターのごとく、卓球台は俺に重みを与えてくる。重さ的に言えば圧倒的に俺が不利。くそ、やはり手強い。先ほど動じなかっただけのことはある。しかし、ここで負けるわけにはいかない。俺は、お前に勝つ、負けるわけにはいかないんだ!
(注)劇ではありません。
「ぬおおおおっ!」
「雄慈郎くん」
体勢をずらし、もう一度力を入れ思い切り押し返す。
――それが決め手となった。
ついに卓球台は反対方向に傾き、俺とは逆方向に倒れた。
……勝った、勝ったぞ。嬉しさも一塩だったが、それ以上に疲労感が増していたようで俺はその場に片膝をついた。助かったぜ、本当によかった。