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密室~隠れ鬼パニック~(12)
「綾音先輩」
「何?」
「ここは、俺が一発力を出して卓球台を押し上げます。だから、先輩はその間に脱出してください」
「え? でもそれじゃあ雄慈郎くんが」
「どの道このままじゃあここから出れません。俺たちのことを高宮先輩たちが見つけてくれるかもしれませんけど、さすがにもう限界です。大丈夫です、死にはしませんよ、これでも男です、体は丈夫ですから」
「……本当に大丈夫?」
「ええ、信じてくれていいです」
「……うん、分かった」
「ありがとうございます」
俺は深呼吸し、気合を入れた。
「じゃあ、いきますよ」
「うん」
「うおおおおおおっ!」
俺はありったけの力を放出し、卓球台を押し上げた。最初こそ動かなかったものの、徐々に卓球台は俺の力で上に上がっていく。
すると、人一人通れるだけのスペースができた。