密室~隠れ鬼パニック~(11)
というわけで十分経過。む、まだまだ。
二十分経過。く、もう少し、もう少しだ。
一時間経過、いやいや、いい加減見つけてくださいよみなさん。腕はすでにピークに達している。
気を抜いた瞬間だった。
ガタンと、支えあっていた卓球台の一台が音と共に俺の背中に乗りかかってきたのだ。
「うわ」
「だ、大丈夫? 雄慈郎くん」
「は、はい、何とか」
と、強がって見せたが、これはさらに俺を追い込む痛恨の一撃。もはやいつ崩れてもおかしくない状況である。
さすがに厳しいなこりゃ。くそ、もっと鍛えてればよかったぜ。ついに俺は苦しそうな表情を先輩に見せてしまう。
「無理しなくてもいいんだよ? 雄慈郎くん」
先輩は心配そうにおれを見てくる。
「いや、大丈夫ですよ。まだまだ全然」
大嘘。もはや大丈夫のだの字もない。
「いいよ、乗っても」
「はい?」
「私の上に乗って。そしたら、少し軽くなるでしょう?」
「綾音先輩……」
もう限界だ。俺はゆっくりと先輩の体に自分の体を――乗せていいわけがねぇ~~。今ここでそれを実行したら、抑制していた理性が一気に開放されてしまう可能性大。そうなってしまったら、この作品は十八歳未満お断りの作品になってしまう。それだけは駄目だ、何とかして阻止しなくては。
もう、こうなったらやるしかねえ。