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密室~隠れ鬼パニック~(5)
それは三人の突然の提案だった。
「何かして遊ばない?」
代表してか、高宮先輩がそう言った。
「遊ぶって、練習しないんですか?」
「そんなに練習練習じゃ、疲れちゃうでしょ? 働きアリじゃないんだから、息抜きも必要よ」
「そうね、ストレス発散にもなりそうだし」
「アグリー……」
「みんなはどう?」
部員に尋ねると、誰一人として反論する者はいなかった。
「という意見なんだけど、駄目かしら? 成松くん」
「…………」
別に俺はやって悪いと言ってるわけじゃない。だが、本番一週間前と迫ってきているのに、遊んでいる余裕が果たしてあるのか、というのが気がかりなんだ。例によって俺は初出演、初舞台、さらには馬鹿でかいホール。この三大要素のコラボレーションに打ち勝つには今は少しでも練習するのが得策のはず。