密室~隠れ鬼パニック~(3)
「でも、成松くん」
「何ですか?」
「もし仮に、綾音が劇以外の何かを目指してるとしたら、何をしてたと思う?」
「それは個人的な意見でいいんでしょうか?」
「ええ、何も気にすることないわよ。グラビアアイドルだろうがモデルだろうが××女優だろうが」
「ぶっ!?」
「ちょちょ、ちょっと早紀ちゃん」
「あはは、冗談冗談。気にしない気にしない」
いや、気にするなって無理でしょう……。いかん、そんな浅ましいことを考えては。嫌われてしまう。でも……先輩、見た感じスタイルは悪くないんだよな。亮太メモによれば――は、駄目だ駄目だ。思考が亮太みたいになってしまっている。悪の報いは針の先、ここはノーマルな答えでいこう。
「歌手とか、いけそうですよね」
「歌手?」
「え、綾音先輩、呪文(劇中)とかすらすら読めるし滑舌もいいし。俺は合ってると思うんですけどね」
「ふーん、なるほどね」
先輩たちは何故か腕組みをしながらにこっと笑った。な、何だ? 一体。
「おめでとー、二人の仲は鎖よりも固いようでーす」
「やっぱりベストカップルねー」
「グレイト……」
何故三人は盛り上がっているんだろうか? 俺と先輩は一緒になって首をかしげる。