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ビラ配り奮闘記(17)
「一度ならず二度までも同じことを繰り返すとはなかなか腐った性根してるじゃねぇか。前に言ったよな? やろうと思えばお前らを警察に突き出せると。それを分かった上で今みたいなことをしたんだよな? なら、俺は警察に電話してやる」
「ま、ま、待ってください」(A)
「俺たちが悪かったです。だから警察だけは」(B)
「だったら何でこんなことをした? 牢屋に入りたいからやったんだろう? なのに何故そんな戯言を?」
「本当にすみません、出来心だったんです」(A)
「もう、絶対にしません。だから、それだけは」(B)
泣きそうになりながら俺に切願してくる二人。よし、これならもうやることはないはずだ。念のために釘を打っておこう。
「絶対にしないと、俺に誓えるか?」
「はい」(A&B)
「じゃあさっさと俺たちの前から消えろ。次また同じことをやったら必ず警察に突き出す。肝に銘じておきな」
「はい、失礼します」
二人は俺にぶたれた箇所を押さえながら背中を丸めて帰っていった。