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ビラ配り奮闘記(16)
いた、あんなところに。
俺は綾音先輩を発見した。その脇で男二人が無理矢理引っ張っていこうとしていた。
あの二人は何処かで……。そうだ、あの時のガキ共か。野郎、一度ならず二度までも。前は口だけに抑えてたがもう許さねえ。俺は一気にそっちに駆け寄った。
「へへ、誰も助けなんか来ないぜ」(A)
「そうそう、あきらめろよ」(B)
その言葉、後悔させてやる。俺は握り拳を作り、近くにチンピラ(A)の右頬を思い切りぶん殴ってやった。
「ぶっ!?」
不甲斐ない声を出し、チンピラはゴロゴロと地面をのたくった。
そして、余った左手でもう一人のチンピラの腹にパンチをめり込ませる。
「ぐああ……」
これまたあっさりとその場にダウンする。
俺は綾音先輩を自分の背中に隠す。
これだけじゃ、また同じことを繰り返しかねない。俺は二人の前で関節を鳴らして威圧にかかる。