158/247
ビラ配り奮闘記(12)
「何だか先輩、すごく明るくなりましたね」
「え? そうかな?」
「はい、失礼ですけど、初めて会った時はすごくへどもどして謝ってばかりでしたから。正直、ちょっと暗いイメージを持っちゃってました」
「言われてみると、ううん、言われなくてもそうだったかもね」
「でも今は、ずっとにこにこ笑ってくれてて、明るさしか感じませんよ。先輩、変わったんだなって、すごく感じます」
「えへへ、何でだと思う?」
茶目っ気たっぷりにそんな質問をしてくる。今までの流れからして、予想はついているけど、間違えたくないから答えないでおく。
「何で、ですか?」
「えへへ、それは、雄慈郎くんがいるからだよ」
的中、してしまった?
「雄慈郎くんが側に居てくれるから、私は明るくなれたんだよ」
「俺、そこまでエンカレッジ能力ないと思いますけど……」
「私にとっては居てくれるだけですっごい力になってるんだよ。自然体でいることができるから」
「そうですか?」
「うん、自信持っていいよ」
何となく自分なのかなと僭越ながら思っていたが、それでもこんな風に誉めてもらえるとやっぱり嬉しいな。