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ビラ配り奮闘記(11)
「そ、そんなことはありませんよ。至って普通だと思いますよ? それに、俺なんかより全然綾音先輩のほうが目を引くと思いますけど……」
「また、始まった雄慈郎くんのエクスキューズ。私が言うんだから、問題ないよ?」
「たとえそうだとしても、は、恥ずかしいっすよ~」
「そう? 私は嬉しいよ?」
「何故ですか?」
「だって、そんな素敵な男の子が彼氏なんだもん」
そう言って笑った綾音先輩はめちゃくちゃかわいかったけど、それ以上に自分の顔から火が出るくらい上気してしまって喜んでいる暇はまるでなかった。
とにかく、お礼を言わなければ。
「ありがとうございます。綾音先輩に言ってもらえると、嬉しさも倍増です」
「うん、どういたしまして」
そう言って綾音先輩はまた微笑んだ。その光景は、もはや天使の微笑みと言っても過言ではないくらい艶やかだった。
その光景を見て、俺はこう思った。