ビラ配り奮闘記(8)
「ひょっとして……それ俺のことか?」
「ひょっとしなくてもそうだろ、見たところ……かなりインパクトあるチラシだもんな」
やはりそうか、当たり前だよな、インパクトがあるって言うのは認めざるを得ない。
言っていなかったが、このチラシはレイエス役の俺、ロップ役の綾音先輩、ミルド役の高宮先輩、エリアル役の大城先輩とゼルベクト役の里野先輩が映っている。しかも、何故か俺がドアップだ。まあ主役だと言えばそれはそれで仕方のないことだが、それにしたってどうしてこんなポーズしてんだ? 俺。(ややうつむいて黄昏ているポーズ)
「これなら客、一杯来てくれるかもな?」
「できれば劇の方に注目してほしいものだがな。」
「ま、見れば納得するだろうよ」
「だといいがな」
「じゃな雄慈、しっかりがんばれよ」
「どこ行くんだ?」
「これからカラオケ行くんだよ、女の子たちとな」
「あっそ」
「ま、お前には関係のない話さ、じゃあな」
「ああ」
亮太たちは向こうへと消えていった。
「一応、成果は出てるみたいだね」
「あまり嬉しくないのは、どうしてでしょうねぇ」
「まあまあそれは見てもらえたらわかるよ、きっと。とりあえず、見てもらえるように頑張ろう?」
「はあ、そうですね」
半信半疑ではあったが、俺たちは頑張ってチラシを配った……。