イノセント・スマイル(20)
「今あなたが綾音にしたことは、綾音のためになってないわ」
何だって?
「もう言う必要はないかもしれないけど、綾音は男の子が苦手。そのあの子が、ここまで勇気を振り絞って男の子であるあなたに告白しようとしていたのよ。それがどれだけあの子にとって不安で怖いことか……」
「…………」
「何でそこまでして、あの子はあなたに告白しようとしたのか。それは、本当にあなたのことが好きになったからよ。あなたを信頼していたからこそ、あの子は自分の思いを打ち明けようとしたのよ」
「俺を……好きだから?」
あれは、本当にそう言う意味だったのか? だとしたら、俺は、俺は何てひどいことを言ってしまったんだ?
「雄慈、本村先輩が心を開いたのは。お前だからなんだよ。お前が優しく手を差し伸べてくれたから、先輩は勇気を出したんだよ」
「俺、だから?」
「そうだ」
「…………」
「成松くん、苦手を治すってことは、男の人を愛せるようになって初めて治るものなんじゃないかしら。だとしたら治せるのは、あなたしかいないのよ」
「(こくこく)」
俺しか先輩を治すことができない。だとしたら、俺はどうする? ……決まってる。嫌というまで付き合って克服してやるだけだ。
ありがとうみんな、やっと、目が覚めた。