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イノセント・スマイル(18)
さっきのお返しとばかりに、俺も大声を張り上げる。四人は俺の激しい剣幕に動揺を覚える。
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ。俺が、俺がどれだけ考えて出した決断かも知らないで、ぺらぺらと口走ってんじゃねぇ。俺だって、ずっと悩んでたんだよ。どうしたらうまくいくんだ、どうしたら仲良くなれるのかって。不器用なりに俺だって一生懸命考えたんだよ。だけど、駄目なんだよ。俺は先輩には似合わない、先輩には釣り合わない、それが俺が出した答えさ。でもせめて、せめて先輩の苦手だけは治してあげようって、先輩が男を好きになれるように頑張ろうって、そう思ってたんだ。なのに、何だよお前たちは。人の気も知らねぇで俺を悪者扱いしやがって。俺だって悲しみに今までずっと耐えてきたんだよ……」
目頭にたまっていた涙が、頬を伝って地面へと落ちる。何でだろうな? 泣く気なんてなかったはずなのに……。こんなに、悔しいんだろう。
「……よかった」
俺の耳にそんな言葉が飛び込んできた。