イノセント・スマイル(12)
しばらくすると動きは止まり、ガチャっと次への扉が開いた。
よく見ると、そのドアの小脇にイロハのイのスタンプが置いてあった。随分と簡単だな。子供たちも入るだろうからそれに伴った配慮か。あるのに押さないのももったいないため、一応スタンプを押してその部屋を出た。
部屋を出ると、今度は周りに作り物の生首がごろごろと転がっていた。まあ、律儀にも歩くためのスペースを作って、だけど。俺は怖くはないが、先輩にはかなりの刺激なんだろう。俺の腕に思いっきりしがみついている。きっと無意識だろう。力が半端じゃない。だが、そのせいで腕のあたりに柔らかい感触がした。
これは……ちょっとヤバイ気がする。
その瞬間――、
「きゃ~~~~~~」
突然先輩が大音声を張り上げ、俺の腕を締め上げた。いててて、ヤバイ、今骨が軋んだぞ?
「ど、どうしたんですか?」
「そ、そこにある生首がわ、わ、笑ったの」
「笑った?」
「うん、そこの、女の人の生首が」
どれどれと、俺はその女の人の生首に顔を近づける。
一見何の変哲もない作り物の生首、何にも変化がないので先輩の見間違いかなと思い、顔を離したその時、