130/247
イノセント・スマイル(9)
「いいですよ、待ってます」
「ううん、みんなで一斉に入ったらつまらないでしょ? 二人一組で行くから燃えるんじゃない、お化け屋敷って言うのは」
「バーニング……」
うーん、何でこうもさっきから俺と先輩を二人にさせようとするんだろうか。ともあれ、嫌がっては失礼だ。ここはもう先に行かせてもらおう。
「分かりました、先輩、行きましょう」
「え、い、行くの?」
「はい、駄目ですか?」
「う、ううん。大丈夫、行こう」
「高校生二人です」
「はーい、八百円です」
俺たちは互いに四百円ずつ出し合った。すると店員は一つのスタンプカードを俺たちに渡した。
「イロハの三つのスタンプを見事集めるとステキな景品がありますので、頑張ってください」
景品ね、客を盛り立てるためだろうから、きっと大したものではないだろう。
「では、いってらっしゃーい」
俺たちはお化け屋敷の中へと入った。