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イノセント・スマイル(6)
「もしもし? 雄慈か?」
「ああ、そうだが」
「実は、ファイヤーマウンテン、しばらく待たないと乗れないみたいなんだよ」
「そうなのか? 何分ぐらいだ?」
「うーん、三十分ぐらいかね?」
「三十分か、分かった。適当に時間潰すことにするよ」
「ああ、頼むわ」
うーん、おかしいよな。まだ開店して少ししか時間経ってないって言うのにそんなに待たなきゃいけないもんなのか? それに、そんな列なんてどこにも見えないんだが……。
「成松くん、どうしたの?」
「亮太から電話があって、三十分くらいかかるらしいんです。だから、適当に回っててくれって」
「そっか」
「ずっとここに座ってるのも何だし、何か乗りにでも行きましょうか?」
「あ、うん、そうしよう」
「先輩、乗りたい乗り物ってありますか?」
「うーん、じゃあ的当てゲームがしたいな」
それは乗り物ではない気がするが……まあいいか。
「じゃあ、行きましょうか」
「うん」
俺たちは地図を頼りにそのアトラクションがある場所へと向かった。