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イノセント・スマイル(4)
「それでいいかしら?」
「かまわないっすよ」
「成松くんは?」
「ああ、はい、お任せです」
「よし、じゃあ行きましょー」
意気揚々とファイヤーマウンテンへ歩を進めようとした先輩たちだったのだが……。
約一名、動かずに震えてる先輩がいた。もう分かったであろう、そう、本村先輩だ。
「ごめん、私、無理。高いところ、昔から駄目なの……」
何となくそんな感じがするもんな。まあ、別にかわいいからいいんだが……は、いかんいかん、何を考えている俺は。そんな風に先輩のことを考えてはいかんのだ。煩悩退散、煩悩退散――よし。
「うーん、そっか。じゃあ、成松くん」
「はい?」
「綾音と一緒に残ってくれないかな」
「え、ええ?」
「一人で残らせたらかわいそうでしょ? それに唯一綾音が安心できる男の子なんだから、ね?」
それは今、だよな。