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イノセント・スマイル(2)
「人、一杯いるね」
「そうですね、まあ開店してから少ししか経ってないから、興味が惹かれるのかもしれませんね」
「うん、そうだね」
「よ、成松くん」
高宮先輩たちがこちらに駆け寄ってきた。そして来るなり俺の格好を舐めまわすようにして眺める。
「うん、やっぱり私服でもかっこいいわね」
「いいわね、何を着ても似合う男って」
「うらやまシス……」
いつもであれば、ここは身振り手振りを使って力いっぱい定説を唱えるのだが、今までの経験上、この人たちには全く効果がないので、潔く褒め言葉として受け取っておこう。
「よし、みんな集合してー」
ダダっと先ほどまでしゃべっていた一年生が高宮先輩の前に集まった。
「今日は、名目では部活動ってことになってるけど、そんなことは気にしないでたっぷり楽しんできなさいね。帰宅は各自自由ってことにするから、用事があったら、早めに帰ってもいいから。分かった?」
「はーい」(部員)
「うん、じゃあ解散。さあ、みんな飛び出せー」
その声と同時に、一年生は物凄い勢いで走り出した。
必然的に、俺たち六人が残る。