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イノセント(5)
「でも、彼は今悩んでるらしいの。自分はきっと綾音には不釣り合いだって。それに、綾音は男の子が苦手でしょう? だから自分のこともあんまり好きではないはず、自分は綾音の苦手を治せればいいって、自分の気持ちを昇華しようとしてるんですって」
「自分の魅力に気づいてないのね、成松くんは。女の愛の視線を一手に浴びているって言うのに」
「イケてる男ほど、それに気付かない……」
「あら響、何だか知ってる風な口ね」
「当たり前……これくらいは、当然……」
「ふふ、そうね、そうかもしれないわね」
話が脱線しかけたけど、またすぐ持ち直した。
「で、どうしましょうか。綾音がストレートに告白できれば楽なんだけど……それは無理ね。男の子としゃべるだけで上がっちゃうだろうし」
「ごめんね……」
「いいのいいの、気にしないで。んー、きっかきさえあればいいんだけどねー」
「そうね、きっかけきっかけ……」
「イベント……」
そうして熟考することしばし。