イノセント(4)
「いいの、かな?」
「え?」(三人)
「私が、成松くんのことを、好きになってもいいのかな?」
「悪いはずなんてあるわけないじゃないの」
「でも、男の子が苦手な私が、好きになったりしたら、迷惑をかけるんじゃないかな? 私、今だって成松くんにはずっと迷惑をかけているから、嫌とか、そういう風に思ってるんじゃないかな?」
「……ふう、綾音は馬鹿ね」
美子ちゃんが笑いながら言った。
「ひどいよ、私、真剣に言ってるのに」
「そんなはずあるわけないでしょう。嫌いだったら演劇なんて参加してくれないわよ。それに、迷惑なんて、一杯かけていいの。それをカバーするのが、男の役目なんだから」
「そうそう、それに、誰かを好きになるのに理由なんていらないわよ」
「無必要……」
「みんな……」
私は少し感動した。やっぱり、この三人は一番の友達だって、そう実感した。
「そんなことより、好かれることを考えましょう。ライバルなんてきっとい~~~~っぱいいるんだから。あ、でも綾音は一歩リードしてるか」
「え? どうして?」
「成松くん、クールだからあまり女の人としゃべったりしないらしいの。でも、綾音とは楽しそうにしゃべってる。きっと一目置いてくれてるのよ。それに……」
「それに?」
「成松くんの友達の三山くんから聞いたんだけど、何でも成松くん、綾音のことをきにしているらしいのよ」
「え? ほ、本当に?」
どうしてだろう、何だか嬉しい気持ちになった。