イノセント(2)
私は三人に部室へと連れて行かれた。
「ど、どうしたの? 三人とも」
そう尋ねると、早紀ちゃんが悪戯っぽく笑いながら、
「単刀直入に聞くわ、綾音はさ、成松くんのことどう思ってる?」
「え、ええ?」
とんでもないことを尋ねてきた。
「ずっと気になってたのよ、付き合ってないって言ってるけど、すごく綾音、楽しそうにしてるから」
「(こくこく)」
「で? どうなの?」
「どうって、気の合う後輩でしょ?」
「私たちが知りたいのはそんなことじゃなくて、一人の男として、成松くんをどう見てるかってこと」
「え、ええ?」
藪から棒に、三人はどうしたんだろう?
そんなことを気にしている場合じゃなさそう。三人の目は真剣そのものだ。いつもの悪戯っぽくて無邪気な目じゃない。この目は、私が男の子のことを相談していた時と同じだ。私のために精一杯手伝ってくれた時と……。下手な返答はできない。真剣に答えなくちゃ、でも何て答えればいいんだろう? 確かに成松くんはすごくいい子。今まで会った男の子の中で一番優しくて、心配せずに普通におしゃべりできる唯一の男の子。時折彼の仕草を見ると、胸が高鳴ることがある。これを意味することって一体何なんだろう? 三人なら、もしかしたら分かるかもしれない。