年上ヒロイン・綾音登場(10)
「本村先輩から見て、きっとその男たちは、その場のテンションとやらで告白したように見えたんだと俺はよんでる。真剣にじゃなく、ただ一緒にいたいっていう独占欲の塊だったんだろうよ。いくら彼女が優しくても、さすがにそれは困るだろ?」
「確かにな」
「それに考えてもみろよ、勝手に男が自分のところによってくるんだぜ? きっと相当男を見る目は肥えてるはずだ」
「まあ、そうだろうな」
「そう考えると、ほら、お前なんかしっかりと名前覚えてもらったんだし、きっとそんなに彼女はお前のこと嫌いでもないだろうよ。むしろ比較的良い位置づけされてるかもしれないしな」
「あの先輩がランク付けなど言う低能なことはしないと思うが?」
「まあまあ、気にすんな。とにもかくにも、これからまた会ったりした時はしっかりとコミュニケーションぐらいはとっておけよ」
「あ、ああ」
キーンコーンカーンコーン。
授業五分前のベルが鳴った。
「やべ、じゃあ俺、課題出してくるわ」
「怒られるのを覚悟したほうがいいと思うぞ?」
「嫌なこと言うんじゃねえっつの」
亮太は苦笑いを浮かべながら、ダダダっと階段を降りていった。
さて、俺は教室に戻ろう。
確か次の授業は……現代文か。
寝ちまわないように気をつけないとな。
『コミュニケーションくらいはとっておけよ』
……まあ、きっともう会わないだろうけどな。
学年も違うわけだし。
そう考えていた俺だったが、その機会は思ったより早く訪れた。