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日曜日のコンフューズ(7)
「あった」
先輩の声が聞こえた。その時間わずか一分十五秒。もはや俺はいる必要がなかった。
「何処にありましたか?」
「あそこに……」
「…………」
「…………」
どうやらそうでもなかったらしい。デジャブって奴だな。先輩のお目当ての図鑑は、本棚の一番上に置いてあった。もはやここまでとなると故意的なものを感じるな。だがまあ、今日は多めに見てやる、俺の出番だ。
俺は手を伸ばし、落とさないようにその本を手に取り、それを先輩に渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
先輩は顔を真っ赤にした。
「今日も、成松くんがいなかったら買うことができなかったね」
「はは、お役に立てて何よりですよ」
「じゃあ、私買ってくるね」
そう言って先輩が走り出した瞬間――、