【第32話・再会してみようか その2】
【ガンッ!バタバタバタ…】
ドアの開く音、それと共に、数人の人の入って来る足音が聞こえた。
「来やがったか。」
その時、レーベンが呟く。
「レーベン、起きてたの?」
「起きるも何も、あれだけ騒々しければイヤでも起きるだろ。」
「それもそうね。」
と、その時、足音と共に聞き覚えのある声が聞こえた。
「離せっ!離しやがれっ!」
「せっかく自由の身になれたと思ったでやすのに•••」
あの声は、確か•••ホワイトとマッカイ、見た目、ブル•テリアと、チャウチャウ似の黒い雑種犬の獣人二人組の悪党だ。
この間しょっ引かれたはずの彼らが、どうしてこんなところに?
しばらく様子を伺っていると、後ろ手に縛られた見覚えのある二人組が、数人の男に連れられ、そのまま私達が入っている向かいの牢に、入れられている。
そして、牢の鍵が閉められる音と共に、声が響いた。
「こんちくしょー!出せっ!出しやがれっ!」
「もう、牢は懲り懲りでやすー!」
あーあぁ、やっぱり鉄柵に張り付いて、叫んでる。
これだから、三流は•••って、私もやったんだった。
なおも叫び続ける彼らを無視し、引っ張ってきた男達は、足早に去って行ったのだった。
それを、恨めしそうな目で見送ると、ホワイトは私達に全く気づいていない様子で、情けない顔をしながら、『はぁ•••』と、大きなため息をついた。
とりあえず、部外者は去った。本当は私達を眠らせた上、こんなところに閉じ込めた理由を聞きたかったけど、ホワイトとマッカイを連れてきた人間たちの雰囲気から、話が通じるような気がしなかったのと、この二人ならもしかしたら•••そんな思いから、声をかけてみることにした。
「ねぇ•••アンタ達。」
すると、こんなところで声をかけられるとは思っていなかったのだろう、二人揃ってすっとんきょうな声をあげた。
「「ふえっ」」
そして、こちらを見て、私のことに気づいたのか
「あーっ!お前はいつぞやの電波女っ!この間は、よくも俺達をハメてくれたな!」
「そうでやす!お前のせいで、俺達は大変な目にあったでやすよ!」
口々に声を上げた。
「はぁ?何言ってんのよ、自業自得じゃないのさ。それを私のせいにされても困るのよね。ってか、釈放されるの早過ぎない?もしかして、アンタ達•••。」
そこまで言った時、ホワイトがニヤリと笑うと、声高らかに言った。
「悪党と言えば脱獄。脱獄と言えば悪党。俺等兄弟を閉じこめておくことなんて、誰にも出来ねぇのさ!」
その時、ずっと黙っていたレーベンがボソっと言った。
「お前等、知らねぇのか?ここいらじゃあ獣人の脱獄囚は捕まり次第、死罪だぞ。バカなことしたな。」
そんな彼の言葉に、二人の表情が固まった。
「ウソ•••だろ?」
「ウソ•••でやすよね?」
すると、レーベンは
「はぁ?お前等、ンなことも知らねぇで悪党やってたのか?たーっ!これだからもう、バカは困るんだ。もう、うっかり捕まれない体になっちまったな、ご愁傷様としか言いようがねぇ。これからしっかり逃げ回るんだぞ•••っと、言いてぇとこだが、もう遅いか。」
そんな彼の言葉に、今度はマッカイが
「兄ぃ!死にたくないでやす!死にたくないでやす!」
そう言うと、泣きそうな顔でホワイトを見ていた。それに
「うるせえぞ!いちいち情けねぇ声出すんじゃねぇ!」
そう、怒鳴り返すホワイトも、死罪が恐いのか、イマイチ迫力が無い。
そんな彼らを見ているうちに、ふと思った。
どうして彼らはココに連れて来られたのだろう?
「ねぇ、アンタ達。」
そんな私の問いに
「あンだよ。」
不機嫌そうに答えるホワイト。
「何で、こんなところに連れて来られた訳?」
すると、素直に口を開かないと思っていたホワイトが言った。
「あぁ、うっかり見ちまったンだよ。」
「え•••?何見たって言うのよ。」
「偽金造りだ。」
「はあ?」
ホワイトの言葉に、思わず目が点になった。
このご時世、いや、異世界だとしても•••だ、ニセ金なんか造ったって、ねぇ?
「アンタ達の見間違えなんじゃないのぉ?」
そう言うと
「なら、自分の目で確かめてみな!」
そう言いつつ、懐から皮袋を取り出し、私の方へと投げてよこした。中を見ると、金貨が一握り、入っている
「ってゆうか、何でアンタが都合良く持ってんのよ。」
「捕まる寸前に、くすねてきたンだよ。」
「さすが現役の悪党よねぇ•••って、レーベン、コレ、どう思う?」
ホワイトから受け取った金貨を、自分のと見比べつつ、レーベンを見た。すると
「イマイチわからん。だが、ホワイトが嘘をついているとも思えん。しかし•••どっちにしろ、面白くねぇことになりそうなのは確かだな。」
「どういうこと?確かに、お金の偽造はマズいわよねぇ。」
「リステル、思い出してみろ。この村、PTAに狙われてンだぞ。」
「あ•••。」
彼の言葉で、全てを察した。もし、PTAの組織力で、本物と見分けがつかない偽造硬貨の工場なんか手に入れられた日には、世の中がひっくり返らない保証はない。
そんな私の顔を見て、レーベンが
「だろ?それに、まさかとは思うが、もしかしたら既にこの村はPTAの手に落ちてンのかもしれねぇがな。村人全員、入れ替わっているってこともあり得る。ま、どっちにしろ潰さねぇとな。」
「でも、どうやって?」
「任せな、俺に考えがある。」
そう言うと、レーベンはニヤリと笑った。
つづく
‐ここから後書き的なものです‐
大分更新が遅れております。
気持では『ほぼ毎日更新!』と思っているのですが、本業の方が忙しくなり、なかなか続編を書くという気力がニントモカントモ・・・みたいな感じになっております。
それでもまぁ、細々とではありますが、続けていこうと思っておりますので、よろしくお願いしますね。
それではまた、作者でした。




