異種愛
実験生物:♂
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何度も何度も何度も思ったんだ。
この身が貴女と同じ人型なら
喜びも悲しみも痛みも等しく知れたのに。
嗚呼。でも、やっとここまで来れたよ。
別に風体も俗世も気にしなくていいじゃないか。
僕とずっといつまでも、ずっと。
この触手をぐちゃぐちゃに動かしたら
永遠と錯覚する程に愛して愛し合って
僕と貴女の違いをいつまでも堪能しよう?
……これは貴女の大好きな研究だ。
研究ならどんなことをしたっていいんだろう!?
だからこれは研究なんだ。研究。
研究という名目なら貴女と一緒に……居られる?
いられ……る?
否、否、否否否否否否否!
僕の身体は研究所の外には適してない!
僕の身体は、命は!
研究所で生まれ、研究所で育ち、研究所で死ぬ!
そう在れと造ったのは、他でもない貴女だ!
こんなにも深い束縛をもって
愛を伝えてくれていたのだろうに!
貴女は、貴女という人間は、人間は!
はははははは……。
貴女は……。
嗚呼……身体が固まっていく。
まるで御伽の死後硬直を体験しているかのように。
嗚呼……心が眠っていく。
どうか、どうかお願いです。
あやしてください。僕をあやしてくだい。
最期には母に優しく撫でられたい。
生まれてきたことを喜んでくれる母の顔が見たい。そうして腕の中で死ぬことができたら……僕は。
僕は、僕は……嗚呼、嗚呼、あー、あ、あ。
あーあー。あーあー。
これが、あいしあう、ということ。
なんてむじひで、くうきょな、ほうよう。
やっぱり、あなたは……
ねっからのけんきゅうしゃだ……。




