タイミングと正体
「マジか・・・」
晴が、舌打ちした。
吐夢が意識を失った瞬間だった。
車は、急に停められた。
都市部に入る手前。
あと、少しで、東京なのに。
出入りする車を監視しているつもりなのか。
幾つものゲートがあった。
銃を構え立っているのは、明らかに、他国の兵士。
アジア系に違うなかった。
「どうしましょう」
桜咲里が言った。
車の中に、桜咲里の銃が、何丁かある。
「面倒だな。非力の癖に」
「まぁまぁ、抑えて」
晴が、よからぬ行動に出ないように、僕は、牽制した。
関係のない人を巻き込みたくない。
晴は、流れに沿って生きていく奴だから。
結果が、どうなろうが、
関係ない。
僕を助けたのも、ほんの気まぐれかもしれない。
今は、桜咲里や、吐夢もいるし。
勝浦の娘に会わなきゃいけない。
「どうする?」
「まさかね。感染者がいたら、近寄らなだろう」
晴は、そう言った。
が、
前の前の車だろう。
感染者らしき人が、乗った車は、そのまま、別のトレーラーに誘導されていた。
「どうするんだ?」
目で、追う僕が、遠くから聞こえてきたのは、
人々の悲鳴だった。
「酷い・・・」
絶句した。
「聞こえたか」
「う・・・ん」
聞きたくなくても、聞こえた悲鳴。
「だよな」
晴にも、聞こえただろう。
焼き尽くされる人の声を。
「方法は、オーソドックスなんだな」
何年経っても。
晴は、そう言いたいんだろう。
順番が、迫って来る。
僕らは、覚悟した。
誰かを巻き添いに、するかもしれない?
それよりも、
弱い人を助ける方法を選ばなければ。
「わかっているよな」
晴が言った。
「大丈夫。慣れているから」
慣れている。
追われる事?
人じゃないって、言われる事。
今は、桜咲里や、吐夢を守ろう。
晴が、アクセルを踏み込んだ。
その時だった。
吐夢が、叫んだ。
意識を失っていた吐夢の叫びは、強烈だった。




