死を持って知った事
ずっと、その光景が頭に浮かぶ。
地下から湧き上がる青白い炎。
それは、かつて、人だった事を誰も知らない。
その時、音羽すら、肌寒く思えたと言う。
地下から、立ち上る蒼い炎。
大きな円になり、その形は、地下鉄の形の沿っていた。
ゆらゆらと立ち上がる炎。
人には、見えない。
気付かず、進軍する兵士達。
「そうか・・・」
音羽は、気が付いた。
見えなくなった人達。
その人達は、地下に逃れ、そこで息絶えていた。
恐ろしい景色。
音羽が、生きた体だったら、吐き気を催した事だろう。
胸がいっぱいになりながら、地上に揺れる蒼い炎を見下ろしていた。
気づかれては、ならない。
彼女に、それは、刺激的だ。
颯太達が、探しているのは、彼女だ。
音羽は、知っていた。
自分と颯太との約束。
二度と、人を襲わないと誓ったあの日。
人に手を上げたら、消えると言う呪を受けていた。
本気で、桜咲里を手にかけようと思った。
颯太に害が及ぶなら、選択の余地はない。
「颯太」
自分にとって、颯太は、何者?
颯太の為に、約束を破る。
颯太を救う為。
何が、起動したのか。
もう、終わったと思った瞬間。
颯太の顔を見えた。
目を見開き、悲しみを讃えた顔を。
胸が、苦しくなった。
忘れていた感情。
苦しく、それでいて、温かい感情。
彼の役に立ちたい。
そう思っていた。
瞬間。
音羽の意識は、消えた。
気がつくと、東京の上空にいた。
「見て・・・」
誰かが、囁いた。
「起こるべき事が起こっただけ」
「誰なの?」
眼下に、広がるは、東京。
上空から見下ろす街並み。
「そう、選んだ」
声は、自分の上空から聞こえる。
視界、一杯に広がる、白く淡い、尻尾。
「え?」
ゆっくりと目線を合わせる様に、降りてきたのは、白く透けそうな肌を持つ、
銀色の瞳を持つ、九尾の狐だった。




