不吉な予感
「うわぁ!」
無邪気な声をあげる吐夢。
すれ違うたびに、不思議な視線を浴びる。
それは、対向車が、僕らくらいしか、いないからだろう。
都市部が、近くなると、軍用トラックが、増えていった。
どう見ても、
日本じゃない。
同じアジア系だが、
聞こえてくるのは、日本語じゃなかった。
「何が、起きているんだ」
ずっと、西の端で、勃発しか、不幸な出来事を晴は、認知できたが、
この日本を侵略してくる輩の動きを、把握していなかった。
奴らは、都市部に侵入し、魔の手を地方に、伸ばしていく。
「歴史は、繰り返すって、言うけど」
そんな歴史を、晴れは、何度も見てきたんだろう。
「まさかだよな。近代の日本で、起きるとは」
「結局、弱い者にたかる虫は、どこにでもいるって事だよ」
「誰も・・・助けないのか」
「感染が、怖いんだよ」
「感染が、怖くても、侵略はするのか?」
「機会を狙っていた奴は、恐怖よりも、とりあえず、侵略していけって事」
「このまま・・・負けるのか」
「勝ち負けでないよ」
ずっと、黙って聴いていた桜咲里が、声を上げた。
「勝浦の娘が、何か、知っているかもしれない」
「そうだよな。どうして、助け出せって、颯太に依頼した?」
「感染の核の中に、入るには、普通の人では、ダメだから」
「おいおい・・・て。お前も、人間じゃないのかよ」
晴は、桜咲里の顔を、ミラー越しに見た。
「自分が、感染するって、考えないのか?こんな追いかけてきて」
「自分が、感染するより、目的を果たしたかったから」
「そこまで、颯太が、憎いんだ」
そう言われて、僕は、言葉を見つけようとしたが、すぐには、出なかった。
「勝浦の娘さんが、感染しないで、無事で、いられる保障は、あるのか?」
「それは、言えないんだけど」
「何だよ。言えよ。感じ悪い」
その時だった。
歓声を上げていたトムが、声を上げた。
「うわん」
「んんん?」
振り向いた晴と目が合った。
珍しく血の気が引いた。
「だよな!」
そうだ。
吐夢の鼻から、鮮血が、流れていた。




