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今でも、君を友と呼んでいいのか

音羽の息遣いが急に荒くなった。


長い間、僕は、音羽と一緒にいるけど、


こんな様子は、初めてだった。


一瞬にして、砂漠と化した世界で、


やっと動く存在に出会えたのだ。


その一行は、線が点となり、


眼の前に、現れた。


真っ黒く爛れたおそらく、元は、人だった塊は、ゆらゆらと僕の前で、


揺れていた。


「やぁ・・・颯太。」


もう、言葉を発する音は、限界じゃないか?


そう思ったが、その塊は、二本足で、しかりと砂漠に立ち、


真っ赤に爛れた口を開いた。


「お前は、無事だったんだな」


身につけていた衣服は、溶けかかっていた。


所々、焦げた皮膚。赤く変色した肉が、緑の液体を吐き出す。


「やっと、逢えたな」


誰なんだ。


こんな所で、後ろに続く、元は、人だった群れは、


僕らを見上げ、または、見下ろし、


耐えきれず、倒れる者もいる。


「タイミング良く、難を逃れたって事か?」


「お前・・・誰だ?」


垂れ下がった瞼で、僕を見上げる。


「お前・・・」


僕は、息を呑んだ。


「まさか・・・」


「そうだよ」


そう言いながら、込み上げた血の塊を音と共に、吐いた。


「封雲?」


育った山寺で、幼馴染で、ライバルだったあいつの名前が浮かんだ。


「その声は、封雲なのか」


「そうだよ。驚いたか?」


言いながら、耐えきれず、片膝をついた。


「お前まで・・・どうして?」


「逆に聞きたいよ。お前は、どうして、無事なのか」


生物兵器が、爆破し、拡散したと聞いた。


噂では、その生物兵器が、何なのかは、わからない。


北の国で、開発された感染性の兵器だと、


人だけを破滅させる兵器だと言う人も居た。


「まだ・・・東京より北は、なんとか、無事らしいな」


「封雲。あまり、話すな」


「お前に、感染るからか?」


「そうじゃない。あまりにも、酷そうだから」


「最初は、こうじゃなかった・・」


封雲は、むせた。


「直接、被爆した訳じゃない・・・・」


「・・・というと?」


「感染したんだ・・・これは、人に感染る」


「人・・・」


半分、人の僕は、唾を呑んだ。


「そうさ・・・100%、人間の俺は、ダメージを受けた」


「誰から、感染した?」


「俺にしちゃ・・・仏心が仇になったんだ・・・この通り、感染に耐えきれず、体が、壊れてしまった」


「封雲。僕は、謝っておきたい事がある」


「言うなよ」


封雲は、ベルトから外した刃物を出すと、僕に渡した。


「頼むよ・・・もし、俺が俺でなくなったら、片付けてくれるか?」


「無理だよ」


「そんな事言うなよ」


封雲についてきていた者達は、次第に倒れ、痙攣しながら、砂地に横たわっている。


「良いか・・・」


倒れた後、動かなくなるのかと思ったら、突然起き上がり、奇声を発した。


「良いか・・・颯太。頭と首を切り離すんだ」


「封雲?」


「いいか・・・頼んだぞ」


そう言うと、封雲は、砂地に倒れ込んだ。

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