ルーツを巡る
「お腹が痛い!」
転がり落ちるかと思った。
吐夢は、車の中で、跳ね起きた。
「痛い!痛い!」
「痛いって?」
子供の扱い方を知らない僕らは、焦った。
「痛いって・・・何とかしろよ。晴!」
「何とかって?」
流石の晴も、どうしたらいいか、わからない。
「おっきいのか?」
「違う!」
「とにかく、車を停めて!」
「停めろって?」
「お腹、さすればいいのか?」
男2人では、どうしたらいいか、わからない。
こんな時・・・。
そう言っても、仕方がない。
音羽の顔が、浮かぶ。
「停めろって、言われても。こんな山道・・・」
どういう事か、晴は、山道に入っていた。
「何で・・・・。東京に行くのに、山道に入るんだよ」
「いや・・・ちょっと、確かめたい事があって」
「確かめたいって?」
「う・・・ん」
晴が、話を逸らしている間にも、吐夢の激痛は、酷くなる一方だった。
「こんな山道で、車停めて・・・」
わかっている。
追尾する桜咲里達を、巻く意味もあるって事は。
だけど、
吐夢があまりにも、痛がり、仕舞いには、
「まま・・・まま・・・お腹が痛いよ!」
言い出した。
一番、聞きたくない台詞だった。
「まま・・・か」
ため息が出た。
停まった車の中で、吐夢のお腹をさする。
「痛い・・・」
「食べすぎたのか?それとも、人間が食べちゃ駄目な奴だったか?」
「え?そんなの備蓄にあるの?」
「だよな・・・」
ふと、吐夢の表情が無くなった。
「ん・・・?」
「そこに行くな!」
明らかにトランス状態だ。
白目を剥いた吐夢が、硬直しながら、叫ぶ。
「行くな!行ってはならない!」
「行くなって?」
僕は、晴の顔を見た。
強張った顔で、見返す晴。
「えぇ?こいつ・・・」
「道を戻れ!連れて行くではない!」
「こいつ・・・何で?」
晴が、吐夢を覗き込む。
白目を剥いて、震える吐夢。
「晴!どういう事だよ!どこに向かう気知ったんだよ!」
「・・・石。」
「え?」
「殺生石を一眼、見たかったから・・」
「殺生石って・・・」
僕の母親が、閉じ込められた・・・って、伝説の。
「何でだよ!」
「あぁ・・・ごめんな」
動揺する晴。
どうして、動揺する。
「どうして・・・こいつ。反応するんだ」
絶叫した後、吐夢は、力尽きて、意識を失った。




