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君の欠片

どうした事か・・・。


最近、晴の思考が少し、わかってきた。


このちびっ子。


どう扱ったらいいのか、晴は、思い悩んでいた。


今までだったら、


そのまま、路上に放置して行ったろう。


なるべく、関わらない。


主義。


だけど、突然、地上に降りかかった災いで、


僕ら、中途半端な妖達の価値観も変わりつつあった。


「何でだ・・・」


刃物をちらつかせても、動じない僕らに、ちびっ子は、躊躇していた。


「北に迎え!」


後で、聞いた事だが、ちびっ子は、仙台に逃げたかったらしい。


都市伝説で、六芒星に守られた都市だ。


子供達の間でも、そんな話になっている。


あらゆる都市伝説を引っ張り出して、


どこに逃げるか、検討していたのだろう。


「北には、行かない」


晴は、ちびっ子の差し出した刃を、片手で、握りつぶした。


「えぇ?」


ちびっ子は、ため息に似た悲鳴を上げた。


「どうする?降りてもいいぞ」


むしろ、降ろしたい。


晴は、車を止めた。


「心配している人は、いないのか?」


遠く離れた場所で、桜咲里も、車を止めたのが、わかった。


銃弾が切れたのか、何も反応がない。


「降りるのか。降りないのか?」


そう聞いた瞬間、ちびっ子のお腹が、音を立てた。


「空腹か」


そう言えば、ずっと、何も食べていない。


晴ですら、何かを食べないと、体を維持できない。


「忘れていたな・・・何か、食わんと生きていけない」


「今更ですか・・」


荒廃した街のあちこちには、崩れかけたコンビニやシャッターを下ろしたスーパーがある。


生き残った誰もが、探し求めて、争ったのだろう。


ガラスは、割れ、食べ物が残っているのは、期待できなかった。


「店をアタても、ないよな・・・」


「店にはない」


「他には、どこに?」


晴は、その街の中心を探していた。


官庁の辺りを周り、青い看板に記された役所を見つけると、そのホールに車を走らせる。


「どこに?」


ちびっ子は、今までの勢いは、なくシートで、大人しくしていた。


よほど、空腹なのだろう。


水だけでは、凌げなかった。


「待ってろ!」


車から、飛び出した晴が、持って来たのは、台車に乗ったたくさんの非常食だった。


「何で?」


「お役所には、備蓄があるんだよ」


パックに入ったご飯や、封を開けるとすぐに、温まるカレー等、晴は、慣れた手付きで、食べやすい様に、人数分に、分け始めた。


「さてと・・・いい加減、名前を教えてもらおうか?」


ちびっ子が、食べたそうに目を輝かせていた。


「吐夢」


「とむ?」


返事する間も惜しいらしく、吐夢は、カレーを頬張った。

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