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迷いと血

晴を不思議に思う。


「関わらない」


と言いながら、結局、僕を助ける事になった。


今まで、そんな事があったか。


距離をとり、遠く見ている。


僕にとって、晴は、保護者でもなく、空気の様な存在だった。


・・・が。


どうだ。


最近の晴は、


どう見ても保護者だ。


「気になる事があるんだけど」


核心に触れる事ができない。


確認しようと何度も思った。


「晴は、どこから来たの?」


「どこって・・・蔵」


「嫌・・・それを聞いているんでなくて」


「ままのぽんぽんから」


「・・・・じゃなくて」


どこからか、子供の話し声が聞こえる。


僕の耳は、異常に鋭い。


本態が、そのせいか。


こんな荒れた街に、子供達が住んでいるのか。


話し声。


風下に向かい確認。


「何だ・・・絡まないのか」


不満げな晴。


「遠回しに聞くのは、柄じゃないから・・・言うよ」


「僕の母さん・・・知ってる?」


柔らかな空気が、少し、張り詰めた。


「聞きたい?」


「う・・ん。僕が、生まれた時、僕が母親を殺したって聞いたから」


「あぁ・・・」


晴は、話しにくそうだた。


「生まれてすぐ、母親を傷つけた・・・で。母親が、去ったって」


「それが、きっかけで、山寺に預けられたんだっけ?」


胸がギュッてなった。


記憶にもない僕が、母親を傷つけたって・・・。


そんな事、普通の人間の子供はできないよな。


「ははは・・・」


乾いた笑いだった。


「晴なら、知っているかなって」


「そうさな・・・」


すぐ、知らないって、言ってくれればいいのに。


珍しく、晴は、言葉を選んでいた。


「まさか、日本で、あの女の子供に会うなんて・・・思わなかったよ」


「えぇ?」


思わず声を上げた。


驚いて、晴が車を停めた。


・・・と思った。


僕の声で、驚いたのではなく、乾いた道路の真ん中に、何か、うずくまる塊を見つけたからだった。


「何?」


「子供?」


僕と晴は、顔を見合わせた。


その子が、ピクッと体を震わせたからだ。


「生きている?」


「待て!用心しろ」


そう言いながら、晴は、僕を引き留めた。


さっき、聞こえたのは、子供の声だった。


もしかしたら、この子供かも。


毛布に包まり、頭先が見えていた。


「倒れているなら・・・助けないと」


「どっちだ?」


人間なのか、そうでないのか。


感染者か。


今までの晴だったら、構わず、通り過ぎただろう。


音羽を失ったばかりの僕に、気を使ったのか。


引き留めなかった。


僕は、車を降りて、毛布を捲った。


「静かにして!」


毛布の中から、顔を出したのは、幼い6歳くらいの男の子だった。


「!」


その子は、片手に握った鋭い刃物を僕に突き付けて言った。


「車に乗せろ!」


まだ、乳歯の残った可愛い男の子だった。



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