積年の恨み
「全く!」
桜咲里は、舌打ちをした。
チャンスなのに。
やっと、見つけた。
自分の大事な人を失った時、
全てが終わった。
あいつの息の根を断つ。
それだけを、目標に今日まで来た。
準備を整えた。
あいつが、何処で、生活をしているのか、
何年も追った。
途中で、知った。
「まさか・・」
という思いと
「やっぱり」
という思い。
人ではなかった。
簡単には、倒せない。
奴を倒す為には、その世界に触れるという事。
知れば知るほど、
どうして、彼は、死ななければならなかったのか。
奴が、殺したという事が、
明確になっていった。
「普通の方法では、死なない」
気づいた。
奴を殺す為に、海を渡り、系統を調べた。
やっと、準備が整い、追い詰めようとしたその時、
激震が走った。
最初は、原因不明の吐血。鼻や口、粘膜からの出血。
肌が、次第に黒ずみ、やがて、崩れるように崩壊していく。
原因不明の感染が、始まった。
西から、東へ。
感染の時期と、海底での爆発の時期が重なる為、
眠っていた生物兵器が原因だと。
噂がSNSを中心に、広まっていった。
「時間がない」
自分が、感染して倒れるか、奴が、感染して倒れるか。
自分の大事な人の仇は、この手で、とりたい。
奴を殺す為に、生きてきた。
果たす事で、亡くなった彼に、報いる事ができる。
そんな時に、勝浦と知り合った。
感染の広まった東京に、娘がいると言う。
「巻き込まれた」
勝浦は言った。
「娘の身が危ない。助ける方法はないか」
「ある事は、ある」
桜咲里は、迷った。
「奴なら、大丈夫だと思う・・・けど」
自分が、何を言っているのか、わからなかった。
どんな時も、奴を追いかけてきた。
絶対、自分が、殺すと思い。
あの女の血を引く奴なら、この災難から、逃れる方法を知るだろう。
だが、自分は、この手で、奴を仕留めたい。
「だったら、娘が助かるまで、待ってくれないか?」
「それは・・・」
迷った。
自分が、感染したら、終わり。
その前に、奴を打ち取りたい。
本気だった。
当たってしまえ。
桜咲里は、腕に自信のある者を海外で、雇ってきた。
何人かは、感染の騒ぎで、逃げ去った。
時間との戦いだった。
「勝浦!ごめんな」
その先には、颯太が居た。




