僕らの憎しみ
咲桜里。
やっぱり、僕を殺したいと思っているか。
洞窟で、会った時から感じていた。
僕を手にかけるなんて、簡単な事で、
このどさくさに紛れて、殺してしまっても、誰も咎めないだろう。
だけど。
咲桜里。
僕の命は、いつでも、あげよう。
この世界で、生き残る可能性は、少しでも、多い方がいいんじゃないか?
耳をそば立てる。
僕の様な、変異した人間を嫌う奴は、多い。
殺したとて。
何が残る?
一時的な感情で。
容赦なく、僕は、狙われていた。
「待て待て!」
僕は、声を上げた。
遠くで、金の話をしている。
こんな情勢でも、金なのか。
どこで、使おうと言うんだい?
「咲桜里。話し合わないか?」
もう、彼女が犯人と決めつけていた。
「このままだと、君も、感染してしまうよ」
「死んでもいい」
やっぱり、彼女だった。
遠くから、木霊のように声が返る。
「残してきた人達は、そのままで、いいの?何か、考えがあるから、勝浦さんの娘さんを連れて来るんだろう?」
「嘘かもしれない」
「嘘をつくような人と逃げていたの?」
「あなたには、関係ない」
ゆっくりと物陰から、咲桜里が現れた。
銃を構え、他の男達も、僕を狙っていた。
「元々、お前みたいな奴は、消えていなくなればいいと思っていた」
「わかる気もするけど」
半端な生き方を反省した。
「お前達、見たいな奴。今回の事は、チャンスと思っているよな」
人だけが、感染する。
これを機に僕みたいな輩が、蔓延る。
そう、思い込んでいる。
「僕、自身、君らと変わらないと思っている」
「そんな事、感じた事はなかった。自分は、別。そう言う顔していた」
「そう言う事じゃなくて」
孤独だっただけ。
その言葉が、恥ずかしいと思う。
言えない。
「僕が、役に立てるなら・・・。君らを助けたいと思う」
そう言い終わらないうちに、咲桜里は、笑いだす。
「生きたいなんて、思わないの。悪く思わないで」
銃口を僕に、向けた。
いくら、僕でも、この至近距離で、撃たれたら、助かる訳がない。
母だって・・・。
彼の地で、息を絶ったのだから。




