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存在する意味

時の流れが止まっている。


変わりもない世界。


ここに閉じこもっていたら、確かに幸せだ。


苦痛もなく。


何も感じない。


そうであれば、存在する意味なんて、あるのだろうか。


求める事も、応える事もない。


時間の中に漂うだけ。


自分は、何を求めていた。


記憶を辿っても、思い出せない。


いつまで、この男からの答えを待つのだろう。


奴は、ただ、寄生しているだけ。


本来の姿なんて、誰も、わかりはしない。


古い家の蔵に住み着き、そこの跡取りに、取り憑いた。


本当の姿なんて、誰も、知らない。


こうして、自分の作り上げた世界で、満足げに振る舞っている。


早く、颯太の元に、戻らなければ。


今までにない事が起きている。


「あの・・・」


音羽が、言い掛けた瞬間。


「ヒェ!」


晴が素っ頓狂な声を上げた。


「なんだ!なんだ!」


怒りに近い声。


「どうしてなんだ」


砂漠を歩き回る。


どすどすと音を立てて。


「許さない!許さない!俺の世界を壊す奴は」


何が、起きたのか、わからない。


「何々、どうしたの」


「俺の世界を壊す奴がいる」


顔を真っ赤にし、怒鳴り散らす。


こんな晴を見た事はない。


「なになに!どうしたの?」


そう声を上げた瞬間、こちらを見た、晴は、


「あぁ!」


大声を上げた。


「消える!消えるぞ」


「何?」


そう言った瞬間、足元がぐらりと動いた。


「え?」


「消えているんだ!」


「?」


足元が掬われ、砂の中に沈んでいく。


「消えていく!俺の世界が」


砂漠に、大きな穴が空き、下に吸い込まれるように、渦を巻き、


下へと落ちていく感覚。


砂の世界が、パズルが、崩れていくように、


あちこち、下へと抜けていく。


その中で、音羽は、足元を見ようとした。


「見るな!」


耳元で、大声を出されて、音羽は、首をすくめた。


「見てはいけない。知ってはいけない」


「何?どういう事?」


「消えているんだ・・・」


足元の感覚が無くなっていく。


「晴?何が起きているの?」


「消えているんだ。この世界も・・・君の体も・・・」


音羽の体が、砂の中へと埋もれていった。

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