砂漠の都市
音の無い世界。
勝浦に提供されたジープは、まっすぐ、南に向かって走り抜ける。
どこまでも、砂漠な訳ではなく。
変わらず、山や森、田畑も変わらずある。
きっと、どこかには、感染していない人達もおり、
変わらず、日々の生活を続けているのかも知れない。
だけど、所々、
まるで、そこだけ、切り取った様に、
砂漠化した地域が広がり、黒い人影が、地面に焦げ付いていた。
まるで、染みの様だ。
生きていたって、証。
人気の無い街は、
信号だけが、動いており、
誰も動くことの無い街を僕は、横切っていく。
時間が経つに連れ、
忘れていた自然が芽吹いていく。
人が居なくたって、
世界は、動いていく。
時折、視界の端を何か、動いていく者の姿があった。
「なんだろう・・」
僕の様な半端者だるうか。
人だけが、感染して、
僕の様な・・・そして、晴のような者だけが残った世界。
生きているスタンドで、ガゾリンを入れ、
誰か、居ないのか、中を覗いてみたが、
誰も映らないテレビが、静かに流れていた。
「誰か、いませんか?」
何回か、声を掛けたけど、何も、帰って来なかった。
痩せた犬が、顔を出して鼻を鳴らすので、
僕は、リードを外し、そこにあったフードをばら撒いた。
人の存在が、悪い訳でないんだ。
何があったか、
解明して、
残った人達だけでも、生きる術を見つけないと。
突然、頭上で、音がした。
物凄いスピードで、2機の戦闘機が、横切っていった。
政府も、このまま手をこまねいていないだろう。
西日本を捨てた訳ではないだろう。
感染を防ぐ為に、人の出入りを止めただけだろう。
僕は、そう思い込む事にした。
そう、思わなければ、この世界は、辛すぎる。
会話もなく、
人もいない。
誰が、感染しているか、
わからないから、
誰かと、触れ合うなんて、できない。
「・・・バカだな・・・」
僕は、あの時、母に似た人を追いかけなければ、普通に感染できたのだろうか。
洞窟の奥底に行ったから、
まぬがれた?
外にいたら、
母の血が入った体でも、
感染できた?
あの日。
僕は、空港に居た。
「誰を待つのか、わかっているの?」
音羽が、声をかけた。
僕は、その日、海外から着くと言う友人を待っていた。
「もちろん、わかっている」
そう言いながら、飛行機の着陸時間が、変わっている事に気が付いて無かった。
「朝から、ずっと。何時にどこから、来るのか、わかっているの?」
時折、音羽は、癇癪を起こす。
「わかっている。わかっている・・・」
僕の友人は、当に、日本に到着しているが、荷物が、降りてこないらしいく、酷く、混乱していた。
「手違いで、荷物がなくなったらしい」
「だったら、先に連絡できるわよね」
音羽が、怒るのも、無理はない。
彼女は、その友人を酷く、嫌っていた。




