他人事と後悔
容赦なく、照り付ける太陽。
砂漠の中のサンパラソル。
白い椅子に、のんびりと寝そべる晴。
元いい、邪神。
「全く・・・平和だよな」
雲ひとつない。
空と砂漠の世界。
「悪いなぁ」
ポツンと呟く。
「こんなとこに、逃げ込んで」
音のない世界。
時間の狭間で、何も考えず、ただ、こうしていたかった。
「決して、逃げたのではない」
晴だけの世界。
誰かと関わるなんて、必要もない。
どんな関係からも、解放され、昼も夜もない世界で、
ぼんやりと、外の世界が流れていくのを待つ。
「もう、終わりだよ。ここに居てはダメだ」
何度、そう言おうかと思った。
「彼に言っては、ダメだ。これは、試練だ」
「試練・・・かぁ?」
考えるな。
そう、自分に言い聞かせる。
だけど、思考は、止まらない。
「俺は・・・」
颯太を置いてきた。
自分だけ、逃げた。
「何で、逃げた?俺?」
人々が死に絶える。
自分は、望んでいたのではなかったか?
いずれ、人のいなくなる世界を望んでいた筈。
長く、あの晴の家の倉の中に、閉じ込められ、
呪い尽くした筈。
なのに・・・。
「イライラする」
気になるのだ。
「なんで、俺。置いていたんだろう」
ここに連れてくれば、良かった。
いや・・・。
颯太は、ここには、居られない。
じゃ・・・。
自分は。
「いい加減、グチグチ、悩むのは、やめなよ」
誰も、いない筈の砂の中から、声がした。
「おぉ?」
晴は、驚き、飛び跳ねる。
「お・・・とはね?」
「だから?」
砂まみれになった体を払う。
「何、呑気に、浸っているの」
「いや・・・・静かで、いいなぁって」
音羽は、ぐるっと辺りを見回した。
「本当!何にも、ないわね」
「そう言うなよ。何もないのが、一番」
「どこに、逃げたのかと思っていたら、自分だけ、こんな所に閉じこもって」
「いやいや・・・。それほどでも」
「褒めていない」
音羽は、苛立った。
突然、晴が現れ、音羽だけ、連れてこらえたのだ。
「私を連れて来るなら、颯太も連れてきてよ」
「そうなんだけどね」
晴の表情は、硬い。
「そんな簡単な事でないんだよ」
「感染・・・。颯太が、感染しちゃう」
「するかな・・・」
「だって、颯太だって、人間だもの」
「確かに・・・ね。半分」
「助けないのは、感染が原因ではないの?」
「う・・ん。言っていいのか、まだ、わからない」
「晴は、感染が起きる事は、知っていたんだね」
「う・・ん。これでも、俺はね」
「もういい」
音羽は、晴の座る椅子を蹴り上げると、スタスタと歩き出した。
「こら、どうやって、抜け出すと・・」
「私を甘く見ないで」
再度、晴は、音羽に蹴り上げられた。




