表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/29

感染

気が付くと、僕は、小さな部屋の一角にいた。


いつの間にか、僕の体は、運び出されていた。


拘束された手足が、ヒリヒりと痛む。


「何処から、連れてこられた?」


同じく捕まったのか、同じ年齢くらいの青年がいた。


「君は?」


話そうとしたが、声が出なかった。


水が呑みたい。


食事も摂れていない。


水分も。


声を出そうとして、咳き込んだ。


「話せるか?」


青年は、拘束されていなかった。


僕を気遣う身体は、同じく、傷だらけだ。


「狂気だよな」


青年は、呟く。


「必死で、逃げて来た奴らが、集まっているみたいだけど、なんか、おかしい。感情がないと言うか・・」


「感情?」


僕が、酷い目に合っている間も、皆、顔色ひとつ変えなかった。


「惨状を見てきたせいもあるけど」


「外は、どうなったんですか?」


「始まりは、西日本の先端だったと聞いた。次第に広がり、ここまで、来たって。」


「どうして、助かったんですか?」


「助かった?」


青年は、笑った。


「まだ、どうか、わからない。だから、様子を見るのに、隔離されている」


「確認の為?」


僕は、笑った。


鼻の奥から、たらーっと、熱いものは、溢れる。


「え?」


青年の顔色が、変わった。


「感染してる?」


僕が、感染しているかもしれないのに、どうして、一緒にしたのか。


「わかんない」


僕は、へへへと笑った。


簡単に感染するか?人とは、違うのに。


音羽のバカにした顔が浮かぶ。


「やばいな。嘘だろう?感染しちゃうだろう?」


「感染経路は、まだ、わかっていないと聞いた」


そう、音羽が言っていた。


空気なのか。


血液を介してなのか。


症状としては、穴という穴から、血を流し、皮膚が黒く爛れ、崩れていくという事。


空気だとしたら、


ここに居る人達は、とうに、感染している。


血液だとしたら、


僕は、誰にも、接触していない。


そう思った時、


洞窟に母と思われる女性を追い詰めた時に、


帰り血を浴びていた。


あの女性は、誰なのか。


その血液が、感染原因としたら、


女性も感染している。


「誰か、わからないんだ」


この青年が、事情を知っているのか、わからないが、


僕は、垂れた鼻血を拭わず、


笑いかけると、


驚いて、飛ぶように、部屋の隅に逃げ込んだ。


そうだよな。


誰も、感染したくない。


僕は、感染したのか。


人でもないのに。


青年の恐怖が頂点に達した時に、


咲桜里が、恰幅のいい男性と現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ