ここから、進むべきか。僕の運命は、平坦ではなかった。
何とも、暖かく心地よいのか。
僕は、ゆらゆらと揺れていた。
母の胎内で、僕の命は芽吹いた。
「君は、生まれると同時に、母親の命を奪うよ」
簡単にそう言うな。
自分から、望んだ訳でない。
普通に人として生まれれば良かった。
それは、無理だ。
誰かが、笑った。
「お前を産むんじゃなかった」
母は、そう言った。
予言は、外れて、母親が死ぬ事は、なかった。
だけど、
僕を捨てて去っていった。
「化け物」
そう、母親は、そう言った。
化け物の母親に、そう言われるとは、思わなかった。
「だから、生まれなきゃ良かったんだ」
僕だって、そう思うよ。
なのに、何度も、この夢を見る。
母親の胎内で、息づいた瞬間を。
外の世界が気になって仕方がなかった。
手は、動くのか。
足は、動くのか。
生まれてすぐ、あなたに、抱きしめてもらえるように、
その瞬間を楽しみにしていたのに。
結局、
僕は、母親に捨てられた。
「お前が、死なせたんだよ」
誰かが、そう言ったのを、父親が庇った。
「誰も、何も言うな」
そうじゃなくて、
僕が言って欲しいのは、
「生まれてくれてありがとう」
だったのに。
僕は、出生と同時に知る事になるんだ。
僕は、
母親の血を引く
化け物だって事を。
生まれなければ、良かった事を。
僕は、颯太。
邪神と旅に出る。
僕らの方が、
人らしいなんて、
この外の世界は、変わってしまった。
〜それは、人に憑くより〜




