表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/132

第14話 鍵の殿堂〈ノウメニア〉、封じられた星の心音



“心音のない星は、かつて夢を捨てた”


◇ ◇ ◇


水の記憶が静まったあと、

ユイたちは銀色の風に導かれ、宇宙の深層に浮かぶ巨大な建造物へと辿り着く。


その名は――**鍵の殿堂〈ノウメニア〉**。

記憶・夢・存在の因子を保存・分析・再配列する、かつての文明が残した

“星の意識を再起動させる装置”である。


「ここは……“宇宙の胎動を記録する神殿”?」


ネルがつぶやく。


石柱には古代符号が刻まれ、中心には浮遊する巨大な心臓のようなコア。

しかし、それは脈動していなかった。


「この星……もう“鼓動”が止まってる」


ユイがそっと手をかざすと、突然、微かな振動が広がる。


『心音認証……完了……』


殿堂の奥から現れたのは、**精霊族の守護機構体レアリス・コード**。


「あなたが、最後の“鍵継者”か……」


レアリスはネルを見つめる。


「夢精霊ネル。かつてあなたが預けた“心の断片”が、

この星に“火の鍵”として封印されたままだ」


「火の鍵……!」


ネルは驚愕する。


「それがないと、この星も、星噬獣も……再起動できない!」


ユイが口を開く。


「じゃあ、その火の鍵って……どこに?」


「それは、“忘却界層ミラージュ・ノクス”の最奥。

過去に一度、誰もが捨て去った“時間”の場所だ」


「つまり……“かつて存在しなかった未来”?」


「その通りだ、ユイ。あなたの思想なら届くかもしれない」


ネルが震えながら口にする。


「行くの?そんな場所に……」


「うん。だって、夢は“思い出す”ものじゃなくて、“思い出してあげる”ものだから」


その瞬間、ノウメニア全体に星のような光が灯る。


そして空間の隙間から、微かに聞こえる音。


――トクン。トクン。


それは、星の鼓動。忘れられた命の目覚め。


「星の心音が……戻ってきた……!」


ネルが涙を浮かべる。


「ありがとう、ユイ。あなたは……夢を繋ぐ人」


だが、その影で誰かの声がささやく。


『火の鍵を得た者は、“光”だけでなく“影”も受け継ぐことになる……』


つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ