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第132話 金輝の誓い――終焉と創始の境界線

星環交響〈せいかんこうきょう〉の領域を抜けたユイたちは、黄金に満ちる境界へと到達していた。


「ここが……金の九聖龍〈きゅうせいりゅう〉の眠る地、か」


淡く煌めく空間には、宝石のような粒子が舞い、すべてが静寂の中に沈んでいた。だが、それはただの静けさではない。“終わり”の重さを湛えた、始まりの沈黙だった。


「この空間、異常だよ……重力も、時間の流れも、一定じゃない」


白鳥 秀樹〈しらとり ひでき〉が眉をしかめながら言うと、稲森 晴佳〈いなもり はるか〉が不安そうに呟く。


「まるで、すべての“常識”が解けていくような感覚……」


そのとき、空間の中心――金色の光が爆ぜた。現れたのは、巨大な輪のような存在。

それは、時間そのものの構造体。名を**終創輪〈しゅうそうりん〉**と呼ぶ。


「終創輪……? もしかして、これが――」


答えるように、輪の奥から一体の龍が姿を現した。

全身を純金に包まれ、瞳に過去と未来を映す龍。


**金の九聖龍〈ゴルド=エレメンタル〉**――その名は、響きをもって空間に刻まれる。


「試練を告げる。我が宝を手にする者よ、汝の“記憶”は信じるに値するか?」


それは、“真実と虚偽を選び取る”試練。


次々と現れる“偽りの記憶”――仲間が裏切る姿、愛が壊れた幻、希望を奪う未来。


だがユイは、目を閉じ、深く呼吸した。


「信じるよ。だって、僕たちの旅は――本物だったから」


ユイの声が、空間に共鳴する。

響く鼓動。集う想い。すると龍は頷き、宝を差し出した。


それが最後の宝――

**金律の種子〈アルティマ・ノーテ〉**。


全九つの宝が、今――揃った。


その瞬間、空間が開く。

巨大な“鍵穴”のような構造体が空に浮かび、その奥から光が溢れ出す。


「これは……新しい扉?」


ノエルが囁いた。


ユイはその光を見つめながら、小さく頷いた。


「行こう。最後の扉を開くんだ――“未生”の向こうへ」


新たな世界の胎動が、静かに始まっていた。


――つづく

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