第130話 創造の核(かく)――記憶(きおく)のはじまり、夢(ゆめ)の終(お)わり
第130話 創造の核――記憶のはじまり、夢の終わり
空が裂けた。
九聖龍の宝が共鳴し、全ての領域を貫く一筋の光が、記憶冠核〈ノヴァ・メモリア〉を直撃した。
「これは……創造の核!」
ユイの掌の中で、夢の記録石〈レコード・ユヌ〉が淡く光り、すべての記憶が一点に収束していく。
「鍵が……開かれる!」
空間が反転し、ひび割れた宇宙の奥から“夢の終わり”が姿を現す。
――
そこは、すべての始原――
“創造以前”の記憶が眠る空洞だった。
崩壊寸前の領域で、静かに佇む影。
それは、記録管理者を名乗る存在――
「ようこそ、記憶の源泉へ。あなた方は“未生”の観測者……」
その声は、まるですべてを知っているかのように優しかった。
だが、そこに“時間”の感覚はなかった。
――
仲間たちの姿も、少しずつ輪郭を失っていく。
存在が“記憶”と同化していくのだ。
ノエルは苦悶の表情を浮かべ、叫ぶ。
「違う! 私たちは、ただ記録されるだけの存在じゃない!」
その言葉に、光が再び走る。
――
九聖龍の宝――
最後の宝が、ついに姿を見せた。
「金剛封環〈ソリッド・ルクレイン〉」
永遠の秩序を象徴する、黄金の輪。
それが解き放たれた瞬間、すべての宝が融合し、新たな鍵となった。
「これが……創造鍵〈コード・メモリアル〉!」
ユイはその鍵を掲げ、崩れゆく領域の中心へと突き進む。
その先には、“まだ生まれていない宇宙”が広がっていた――
「行こう、みんな! 未生の扉の、さらに先へ!」
――つづく