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第126話 鍵の扉の先へ――始まりの創造

第126話 鍵の扉の先へ――始まりの創造


聖環の戦いが終わったあと、空間には一瞬の静寂が訪れた。


バルザ=クライムスの姿は呪翼とともに崩れ去り、虚無の叫びも沈黙した。

しかし、ユイたちの胸には明確な実感が残っていた――


「まだ……終わっていない」


ネルが空を見上げてつぶやく。

そこに浮かんでいたのは、“鍵”の紋章だった。


それは九聖龍の共鳴によって目覚めた、宇宙創造の門。

“未生の扉”――その本当の入り口。


「行こう……この旅の、本当の始まりへ」


ユイの言葉に、仲間たちは頷く。



金龍の導きにより、彼らは“鍵の光路”と呼ばれる通路へ入った。

それは星々が連なる一本道であり、光そのものが足元を形作る幻想の道。


彼方にそびえる扉は、輝きと闇が同時に脈打っていた。

その扉の前に、ひとりの存在が立っていた。


「……お前たちか。ついに来たのだな」


声の主は、ローブに身を包んだ男。

その名は――**カデンザ=ネメシス**。


「十三の導」の一人にして、“記憶の創造層”を管理する存在だった。


「鍵の扉を開くには、最後の審問を超えねばならぬ」


そう言うと彼は、手に一冊の本を現した。


それは――ユイの“書かれなかった未来”を記した禁断の書だった。


「これは、君が選ばなかった道の記憶。

この先に進むなら、君は自分自身の“選ばなかった可能性”すら肯定しなければならない」


ユイはその本を開いた。


そこには、かつて諦めた夢。出会わなかった仲間。

選ばなかった言葉。踏み出さなかった一歩が、すべて記されていた。


「こんなにも、あったんだ……“もうひとつの自分”が」


ユイの瞳が揺れる。


「だが、今の私は――この道を選んだ。仲間と出会い、夢を信じた。

それが……“今ここにいる私”だ!」


その言葉と共に、宝が共鳴する。


鍵の扉が、静かに開き始めた。



扉の向こうに広がっていたのは、**“無生界”――何もない原初の空間**。


光も音もなく、ただ意識だけが漂っている。


「ここが……“創造の前”の場所……?」


そのとき、ユイの中からひとつの声が響いた。


「君に問う――“生まれること”を、君は望むか?」


それは、宇宙そのものの問いだった。


ユイは答える。


「私は、望む。夢を描き、記憶を紡ぎ、仲間と歩んできた。

この命がたとえ一瞬でも、それは確かな意味を持つ」


光が差し込む。


全てが揺らぎ、そして――“始まり”が刻まれる。



創造の時が満ちる。


ユイの胸に、ひとつの小さな鍵が現れた。


それは、“未生の扉”の中心部に眠る真なる鍵。


「行こう、皆……この先に、“まだ見ぬ宇宙”がある」


仲間たちが頷いた。


――物語は、いよいよ**創造編**へと突入する。


――つづく

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