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第102回: 魂玉の秘密と裏切り者

第102回: 魂玉の秘密と裏切り者

異空間の空気が重く淀む中、無義天滅の体がさらに膨張した。獣の咆哮が響き渡り、周囲の霧が渦を巻く。ユイは剣を握りしめ、息を整える。魂玉——それが無義天滅の弱点だと気づいたのは、戦いの最中だった。玉は彼の胸に輝き、青白い光を放っている。

「その玉…お前の過去の残骸か!」ユイが叫ぶ。無義天滅は嘲笑う。「ほう、よく気づいたな。だが、それを知ったところで遅い!」

無義天滅の過去が、フラッシュバックのようにユイの脳裏に流れ込む。異空間の力か、それとも魂玉の影響か。江戸時代の侍、無義天滅は元々「武義天命」という名だった。忠義の侍として主君に仕えていたが、裏切りにより追われ、時空の裂け目に落ちた。そこで獣の力に蝕まれ、名を逆さにし、悪に染まったのだ。

戦いが再開。無義天滅の翼が風を切り、黒い爪がユイを襲う。ユイは身を翻し、異空間の浮遊物を盾に使う。だが、突然の痛みが背中を走る。振り返ると、仲間の一人、エリナが剣を突き立てていた。

「エリナ!? なぜ…」ユイの声が震える。エリナの目は冷たく、無義天滅と同じ狂気の炎が宿る。「お前たちをここに導いたのは、私だ。無義様の力が必要だったのよ。」

裏切り者、エリナ。彼女は異空間の力に魅了され、無義天滅の配下となっていた。ユイの心に怒りと悲しみが渦巻く。二対一の戦い。無義天滅の笑い声が響く中、エリナの魔法がユイを包む。幻影の鎖が体を拘束する。

「くっ…これで終わるか!」ユイは最後の力を振り絞り、魂玉に向かって剣を投げつける。玉に亀裂が入り、無義天滅が苦痛に叫ぶ。だが、エリナの攻撃が続き、ユイは膝をつく。

異空間の深部から、新たな影が現れる。もう一人の仲間、ガルドが駆けつける。「ユイ! 持ってろ!」ガルドの斧がエリナを押し返す。戦いは三つ巴に。魂玉の光が弱まる中、無義天滅の変身が解け始める。

「この…恨みは忘れんぞ!」無義天滅が後退し、闇に溶ける。エリナも逃げるが、ガルドの追撃で傷を負う。ユイは立ち上がり、魂玉の欠片を拾う。それには、無義天滅の記憶が刻まれていた。

異空間の旅は続く。裏切りの傷が癒えぬまま、次の脅威が迫る。

つづく


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