第8章「狂乱都市、笑う神椅子」
満腹区・中央大通り
燃えた瓦礫の向こうで、神椅子が軋むような音を立てていた。
空に浮かぶ“椅子”はもはや影ではなく、
太陽すらかすませる神の象徴となっていた。
そして今――その真下、地上最大の混沌が巻き起ころうとしていた。
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太陽連合 交戦エリア・第13シマ
「オラァァァァァアアア!!!」
ふー太郎の拳が地面を叩き割ったその瞬間、
瓦礫が舞い、周囲の建物が“笑うように”傾いた。
「路地裏ステージ整ったァァ!!ここが満腹バトルコロシアムやあああ!!」
ステージ中央、立ちはだかるのは――そらん。
真紅のハイヒールを履き、手にはマイクスタンド。
異能《魅了念糸チャームスレッド》が、ドレスの裾から無数に揺れていた。
「ウチのライブ、始めるで♡ 覚悟できてんの?ふー太郎♡」
「最強の攻撃くるやんけ…」
ふー太郎はあとずさりした…
背後から現れたのは、煌びやかなアイドル風軍団。
メイク完璧、衣装バリバリ。だが全員、瞳が光っていた。
「推しは命でできてる!!」
「推される快感、はんぱないッス!!」
「そらん様ぁぁ!!喉仏で握手してくださいぃ!!」
ふー太郎、汗を垂らす。
「お前ら……完全に“推され壊れて”んじゃねぇか!!」
そらんの異能は、すでに十数名を「アイドル戦闘傀儡」に仕立てていた。
「ほな、曲いくで〜♪」
《1stソング:ぶち抜き純情DYNAMITE》再生開始!!
「曲名だっさ!ぐはぁぁぁ!!」
「くそッ!!歌われたらこっちの攻撃が無効化してしまう!!この空気……地獄アイドルフェスや!!」
こんな「歌」まで出してくるとは…本気だな…?
その瞬間…そらんが異変に気づく…
「あれ?」
そらんの「歌」を聴いた構成員たちは絶滅していた…。
「おまえの歌は最強の異能なんだよ……」
【清心会】地下アジト・偽戦略会議室(ドリンクバー完備)
リエラは、椅子に座りながら紅茶を注いでいた。
静かに、しかし明確に――情報を操作する。
「“情報”で殺すわ。誰も傷つけず、心を壊すの」
吉師が言った。
「なら、先に“誰を殺すか”決めないとね。地獄ってのは優先順位だから」
あめは少しうるっとしていた。
「……でも、ふー太郎くんが、また笑ってて……なんか……」
吉師:「“涙”は武器。“感情”は凶器。使いなさい、全部」
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【戦場外報】突発異変ゾーン
にぇるこTV(戦場生配信)
「こんにゃろーーー!!!!」
にぇるこの異能:《電撃配信ギャグ・エクスプロージョン》が火を吹く!
そのボケ一発で、爆発が3件発生。
ツッコミが遅れると被害拡大。
ハレ放送局
「いま爆発したの、わたしの異能のせいじゃな〜い♡」
ぶるべる vs ゆーすけ:乙女の一騎打ち
「つきちゃんの心、オレが守る!」
「……ふー太郎くんが……見てるなら、負けられない!!」
2人の美しすぎる男子が、謎の薔薇を背に戦う。
「乙女バースト・フィナーレぴゅあ☆!!」
戦場が一瞬ピンク色になった。
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【別戦線:隠密バトル】
せきたて&うかんむり vs 清心会の監視部隊
「爆笑爆笑爆笑爆笑爆笑♡」
うかんむりの異能が炸裂。
相手がメンタル崩壊しながら笑い死に寸前。
「うかんむりちゅわん♡ 今日は“脳みそごと”持って帰るぅ?」
せきたてが剣を舐めながら微笑む。
清心会の斥候たちは、何も言わず気絶した。
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【四天王動向整理】
•葉月(リエラ陣営)
狂気の切り札。まだ動かず。
•びび(そらん陣営)
報恩の拳で、都市ブロックごと殴り抜いた。
•タラバガニ(ハレと共に行動=そらん側)
拳でダンプを殴り返す。依然無言。
•ぷんぽんぱん(ふー太郎側)
敵部隊をまとめて癒し、気絶させつつパンを焼いている。
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【黒幕はまだ動かない】
Aちゃん――表向きふー太郎派。
だがその微笑みの裏に、誰も知らない“何か”が蠢く。
みぅと吉師が、その存在を警戒し始めていた。
「Aちゃん……あの子の動き、気にかかる」
「まだ“舞台”に上がってない。でも、それが一番こわい」
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【戦況のまとめ】
•そらん組:戦力・勢い共に拡大。びび・タラバ・せきたてと強力駒が優勢。
•清心会:情報・スパイ戦術が優位。葉月はまだ温存。心理的揺さぶりに成功。
•太陽連合:ふー太郎の単独パワーと人望、ぷんぽんぱん・さくららの突破力で戦局を支える。
今はそらん側が少し優勢。