第5章「動き出す、静かな獣たち」
満腹区に、異常気象が続いていた。
朝は快晴、昼は雷、夜には雪が降る。
それは、空に浮かぶ“神の椅子”が――不穏の兆しを広げている証だった。
そんな中、裏社会の三大組長たちは、互いの息を探り始めていた。
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太陽連合本部・地下訓練所
「ふー太郎総長!“見えざる一撃”の使い手、クロが来てます!」
「ん?あの“律儀界の神”クロか。……ええやん。試したるわ」
分厚い拳を鳴らしながら、ふー太郎が立ち上がる。
その表情は朗らかだが、訓練所の空気は張り詰めていた。
ふー太郎の周囲には、
•ぶるべる:筋肉と優しさの狭間で揺れる男
•ゆーすけ:乙女心と男子力を兼ねた最強の補佐
•TSUKiちゃん:「感謝の正拳突き!」を叫びながら納豆を配る戦闘狂い
笑い声と共に訓練は続くが、ふー太郎だけは静かだった。
なぜなら、彼の胸中には――ある予感が芽生えていたからだ。
(誰かが……嘘をついてる。近くに、“鬼”がいる)
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空風巡回組・“映えの館”
「きゃは☆ そろそろ出番やで?」
そらんは、鏡越しに笑う。
だが、その背後では“処刑人”せきたてが血塗れの調書を並べていた。
「そらんちゅわん、ウチ、そろそろ人間やめてもええかなァ?アハッ☆」
「気づいとらんの?もう人間やないで?、体臭とかえげつないねん」
「え?マ?」
異能:《魅了念糸》を操るそらんは、今や裏社会の半数に影響を及ぼしている。
それでも、彼女の足元にはわずかな“虚”があった。
(ウチ、なんでここまでして……“神の椅子”を欲しがってるんやろ)
そのとき、背後に現れたにぇるこがポップコーンを抱えて口を開いた。
「ウチの異能、“ギャグ崩拳”で精神破壊できんで?こんにゃろー☆」
「採用」
その瞬間、また1人、そらん組に異常な女が加わった。
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清心会・作戦室
「敵が動く。こちらも、“視えない刃”で対応する」
リエラの一声で、
•吉師(分析と策略の女王)
•みぅ(せきたての過去を追う者)
•しう(元気と病みの狭間で爆発するギャル)
•あめ(可愛さで隠した刃)
が立ち上がる。
「まず、そらん組の“笑顔の毒”を封じます」
「ただ、気になるのは……あめ。あなた、何かを隠していない?」
「え?ううん……なんでもないよ」
ふと視線が交差する。
清心会の中に、静かに嘘が紛れていた。
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[暗躍]
その頃、
•キャットは異能Vlogで爆発的人気を得ていた
•生徒会長は“いいね連合”を組織化
•黒は夜毎、正義と称して裏組織を襲撃
•あきと&さっつは“自爆系”異能ギャグコンビとして覚醒
•馬肉&はちみつちゃんは可愛い過ぎる戦闘要員として話題に
満腹区の全域が、ゆっくりと――しかし確実に“異常”へと向かっていた。
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その夜。
リエラは、机の上に一枚の写真を見つける。
それは、そらんとAちゃんが映る写真だった。
(この子……“ただの傍観者”じゃない)
その目が、静かに細くなる。
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世界は、動き出していた。
でも――まだ誰も気づいていなかった。
“タワー・オブ・ゴッド”は、
その回転速度を、徐々に速めていることに