第12章「告白と暴走、そして祈り」
タワーオブGODが静かに震えていた。
誰も座っていないはずの椅子が、まるで意思を持つかのように、
大気をよじり、街の空を軋ませる。
その中心に――そらんがいた。
けれど、そこに立つ彼女からは、すでに異能の気配は失われていた。
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【中央神域・神椅子直下】
「そらん!!戻って来いッ!!」
ふー太郎の叫びが、届かない。
彼女の足元には、淡いピンクの“静寂の円”が広がっていた。
空間そのものが、彼女を“聖域”として拒んでいる。
「なんで……なんでお前に近づけねえんだ……!」
(そらん:おまえって誰に向かって言うとんじゃボケ)
拳を握るふー太郎。けれど、その身体が一歩も前に進めない。
(これは……違う。拒まれてるんじゃねぇ……“護られてる”)
その時、ふー太郎の背後に、2つの影が降り立った。
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【防衛線:タラバガニ&せきたて】
「それ以上、行くな。そらんに近づいたら、お前が壊れる」
重低音の声。タラバガニが鋼の拳を構える。
「ふー太郎、お前は“光”や。でも光も、時に誰かを焦がすねん」
せきたての異能が活性化。
背後で爆笑を起点に、周囲の空気がねじれる。
《異能:祭式・八連ツッコミ(マツリシキ・ハチレンブッコミ)》
「止めたる。絶対に止めたる。今だけは、オレが“敵”や!!」
この2人相手に勝てると思うなよでぶ!
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【ふー太郎:異能、覚醒前夜】
「二人とも……そこをどけ!!」
叫びとともに拳を振るう。
だが、タラバガニの重力拳《零式・鉛拳》が襲いかかる。
ドガァン!!
大地が裂ける。ふー太郎が吹き飛ぶ――が、立ち上がる。
「うるせぇ……オレはな、そらんの異能なんて欲しくねぇ。
ただ、“アイツ自身”を……助けてぇんだよ!!」
その瞬間。
彼の背中に、太陽のような光のオーラが迸った。
異能覚醒―― 陽誓爆心。
タラバガニとせきたてが同時におしっこを漏らした…
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【びび vs 葉月:因縁始動】
「ウチがあの椅子に座ったら、ぜーんぶ笑いにしてあげる♡」
葉月の傘が、狂ったように回転する。
《異能:絶笑制裁・惨型式》
対するびびは拳を握る。
「……テメェの笑顔が一番、許せねぇ」
《異能:報恩拳・断義》
「お前に……俺の律、叩き込んでやる!!」
二人の“正義”が衝突する。
閃光と閃光の、純粋な激突――これは、終わらせなければならない宿命だった。
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【つき:闇の兆し】
「ねぇ……私……誰かの声が、頭に笑って入ってくるの……」
ぶるべるに寄りかかったつきの瞳が、黒く揺らいだ。
「これ、私……“葉月”の気配に、似てるよね……?」
その瞬間、彼女の身体の内から何かが“共鳴”を始めた。
融合フラグ――点灯。
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【Aちゃん・静観】
高層ビルの屋上から、戦場を見下ろすAちゃん。
「もう……誰にも止められない。
でも、誰かが終わらせてくれるとしたら――きっと、“あの人”」
彼女の目線の先には、フルチンでボロボロになりながらも立ち上がる、ふー太郎の背中があった。
「だから、私はもう、何もしない」
そう言って、Aちゃんは静かに目を閉じた。
異能:スカピー(寝た。)