第二十九幕 違和感
「って、もうこんな時間か」
「事務所来たいんでしょ?さっさと行かないと日が暮れるよ」
〈うぃ〉
『はーい』
【事務所?】
「あぁ。自分、探偵やってるんです」
【あ!探偵さんだったんですね!】
『ねー、行かないの?』
「はいはい、今行くから」
「それでは、失礼します」
【はい!また!】
病院の出口の前で挨拶を交わして、歩き出す三人。
〈あー怖かった…〉
〈あんなのが近くの森に潜んでる可能性があるなんて怖くて眠れねぇわ…〉
『もー、そんなこと言わないで』
『怖いのは分かるけど…』
〈思い出したら寒気がする…!!〉
「うーん、獣人にとってはそんなもんなのか」
〈そう。お前は人間だからわからないんだよ〉
「まぁ確かにあの目を向けられる気持ちは分かんないな」
『とにかくこれから関わることが無いことを祈るしかないよ』
〈まぁそうだな…〉
「じゃあ急いでリュック持ってくるから、待ってて」
〈ん〉
『はーい』
「よし。行こっか」
今度は事務所に向かって歩き出す三人。
〈…ん?〉
『ん?どうしたの?』
〈…んー、いや〉
何か気がかりなことがあるようにあたりを見渡す八代。
「どうしたの?挙動不審だけど」
〈…なんか…違和感がある気がする…〉
『えっ』
「家の鍵閉め忘れたとか」
〈元々鍵なんかかけてねーよ〉
「それはそれでなんだけど…」
〈…視線…?視線かもしれない〉
『えっ!?』
「視線??誰かに見られてるってこと?」
〈そんな気がする…〉
『ちょっとちょっとちょっと気のせいであってほしいんだけどねぇ』
〈いや、本当に微妙な感覚だから…分からん。気のせいだろ〉
「んー…まぁ一応、なんかあったら言って」
〈うん〉
『怖いって…』




