第十六幕 キケンな薬屋
貝森楼沙{}
《ここ!私がいつも薬とか仕入れてるとこ!》
「薬局か」
《まぁ、そう言ってもいいかもね》
綺麗な建物の看板には、「貝森薬屋」と書かれている。
そのすぐ下にあるドアを開け、中に入る。
〈暗っ…〉
《貝森さんとこはいつもこうだよ〜》
{あれ、お客さんかい?}
『えっ、どこ??』
〖上だよ。自分の部屋が上にあるから〗
「上…??」
{って、呂奈ちゃんか〜!}
{人数多いもんだから誰かと思ったよ!}
《お世話になってます〜》
軽い会話の後、機械が動く音が聞こえる。
「え、リフト!?」
{お〜、初めましての子がいっぱいだ}
《この子がいつもお話してるりなちゃん!》
{あー!君が八代りなちゃんか!}
〈なんで教えてんだよ…〉
{それで…他の子は?}
「弓門息吹です」
『あ…えっと…』
〈コイツがカッピー〉
{へぇ…}
名前を聞くとカッピーに近寄りじっと見つめる。
そのまま3秒が経過する。
カッピーの目が泳ぎ、段々と顔が赤くなっていく。
{ふ〜ん…}
楼沙がからかうように微笑みを浮かべる。
楼沙がカッピーの頬に触れようとした瞬間、とある手によって遮られる。
〈うちの奴に手を出そうとするのはやめてくれるか?〉
{おやおや}
楼沙がからかうように笑う。
《あらら〜…》
「え…?アイツもしかしてそういう…??」
《いやいや、りなちゃんはなんでも昔からあんな感じだよ》
〖独占欲強いからね…〗
〖お気に入りのぬいぐるみとか私たちでも中々触らせてもらえなかったし〗
《私たちが知らない男の人に話しかけられたときとか、すっごい睨んでることもあったよ》
《何かお気に入りのものはあんまり触られたくないみたい》
そう言って二人が笑う。
〖きっとカッピーもそういう存在なんだろうね〗
《思えばよくお話はしてくれたけど、実際に会ったのは今日が初めてだしね》
〈おい、うるさいぞ〉
《ごめんごめん!》
〈てか、お前そんな人見知りだったっけ?〉
『いや…』
『ちょっと…目のやり場が…』
そう言って楼沙から目を離す。
「思春期の男の子??」
〈思春期男児かお前??〉
二人同時に言う。
『仕方ないでしょ!?』
{まぁボクこんなカッコだしね〜}
露出度の高い服を着た楼沙はそう言っていたずらっぽく笑う。
{それで、今日はどうしたの?}
《あ、そうそう》
《少し聞きたいことがあって…》